中部大学は2018年10月29日、炎の中で酸化と逆の還元反応を発生させる技術を開発したと発表した。さらにこの技術を用いて、三商と共同で、通常より酸素の少ない低次酸化チタンの合成技術を開発した。
今回開発した技術は、燃焼過程で生じる一酸化炭素(CO)を利用。COが二酸化炭素(CO2)になろうとして酸化金属から酸素を取り除くことを利用して、二酸化チタンを還元することを確認した。
実験では、空気が噴き出すノズルの周囲に、燃料ガスが吹き出すノズルを配置。燃焼中には空気ノズルの出口に「逆拡散火炎」と呼ばれる炎が発生し、燃料ガスノズルの外側には「拡散火炎」が発生する。拡散火炎と逆拡散火炎で囲まれる領域は、燃料の不完全燃焼によって発生したCOの濃度が高くなる。ここに空気ノズルから二酸化チタンの微粒子を噴出させ、吸い取った。
噴出後に回収した微粒子を組成解析すると、チタン原子に対する酸素原子の比率が元の比率より少なくなっており、還元反応が発生していることが認められた。
今回の実験では、内径が0.2ミリ程度の複数の燃焼ノズルを並べたバーナーを用いた。一般的なバーナーより還元反応を起こしやすい炎を形成できるという。
開発した技術はまず、低次酸化チタンの生産に利用するという。この粒子は濃いグレー色をしており、赤外線を反射することで建物の温度上昇を抑える塗料や、アイシャドーなどの黒色化粧品などへの応用が期待できる。また、他の企業とも協力し、別の酸化物への応用も模索する予定だ。