量子コンピューティングも可能にする、2次元ファンデルワールス磁気材料とは

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韓国の基礎科学研究院(IBS、Institute for Basic Science)のPark教授が率いる国際研究チームは、2次元ファンデルワールス材料の磁気特性について、最新の知見と将来の可能性を論じた。研究成果は、2018年10月31日付けの『Nature』に掲載されている。

ファンデルワールス(vdW)材料とは、非常に薄い原子層同士が弱いファンデルワールス結合によって積層している材料である。半導体素子をはじめ多くの分野で注目されているグラフェンは、代表的なvdW材料である。へき開性を持つvdW材料は、層の厚みが変わると新しい物理現象が発生することが期待されており、磁性の研究もそのひとつである。

物質の磁性は、電子スピンの配列の仕方で決まり、温度依存性がある。物質固有の磁気転移温度を超えるとスピンの向きはばらばらになり、これを常磁性体という。磁気転移温度以下のとき、すべてのスピンの向きがそろっている場合は強磁性体、隣り合うスピンの向きが逆になっている場合は、反強磁性体となる。

2次元vdW磁性材料の興味深いところは、厚みが薄いため温度ゆらぎの影響を受けやすいことだ。たとえば、CrI3は単層では強磁性体、2層では反強磁性体だが、3層にすると再び強磁性体になる。しかし、FePS3のように、層の厚みが変わっても反強磁性体のままの材料も見つかっている。

2016年にIBSのチームはFePS3を利用して、電子スピンの相転移を表したイジングモデルの「オンサーガーの厳密解」を証明した。FePS3の磁気転移温度は、2次元の場合も3次元と変わらず-155℃であることを発見した。2次元vdW磁性材料を利用すれば、ほかの理論モデルの検証も可能だと考えている。

研究チームによれば、vdW材料の電子スピンを電気的、光学的、機械的に制御することができれば、量子コンピューティングをはじめ、スピントロニクスに大きな影響を与えるだろうとしている。2次元材料は3次元材料よりも消費電力が少なく、現在のシリコンベースの電子機器に置き換わる可能性もある。また、磁性薄膜に生じるスキルミオンを利用した将来型メモリの開発や、量子コンピューティングへの応用が提起されているマヨラナフェルミオンの発見も期待できるという。

論文では、vdW材料のロードマップも示した。理論モデルのテスト以外にも、電子の注入、スピンバレーカップリングなど、磁性を制御するためのアプリケーション駆動型のテストを考えている。特に、室温で使用できる材料の研究が大きな目標だとしている。

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