液相法で中間バンド型太陽電池を作成――汎用太陽電池の最大効率31%超えに道 花王、東大、九州工業大の研究グループ

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モデル構造と電子顕微鏡写真(右下)

花王マテリアルサイエンス研究所、東京大学先端科学技術研究センター、九州工業大学大学院生命体工学研究科は2019年1月10日、高エネルギー変換効率が期待される中間バンド型太陽電池を、液体状態(液相)から結晶成長させる「液相法」で作製することに成功したと発表した。液相法での中間バンド型太陽電池の作成に成功したのは世界初だという。

シリコン系などの汎用太陽電池の最大理論変換効率は約31%だが、これを超える太陽電池として注目されるのが中間バンド型太陽電池だ。中間バンド型太陽電池は、バルク(母体)半導体中にナノサイズ半導体(量子ドット)を高密度充填したナノ構造体(光吸収層)を必要とする。このナノ構造体は従来、超高真空下で気体状態(気相)から結晶成長させる「気相法」で作製されてきた。

しかし、使用できる材料の制約や設備負荷などの観点から、気相法で高エネルギー変換効率の中間バンド型太陽電池を安価で製造することは困難だった。そこで研究グループは、液相法による中間バンド型太陽電池の作製に挑戦。液相法で、ペロブスカイト(臭化鉛メチルアンモニウム)バルク半導体中に平均粒径4nmの量子ドット(硫化鉛)を高密度充填したナノ構造体の作製に成功した。

今回の研究では、量子ドット(硫化鉛)の表面にヨウ化物イオンを配位。これにより、ペロブスカイト前駆体(メチルアミン臭化水素塩、臭化鉛)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液に量子ドットをナノレベルで分散、安定させたコート液を調製した。次に、このコート液をスピンコート(液相法)し、ナノ構造体(光吸収層)を基板上に結晶成長させ、太陽電池を作製した。

その後、X線回折装置、電子顕微鏡、吸収・発光スペクトルなどによりナノ構造体を科学的に解析。さらに、赤外バイアス光を用いた2段階光吸収評価システムにより、発電効率を測定した。その結果、作製したナノ構造体が、中間バンドを形成した設計通りの光吸収層であることを確認。加えて、この光吸収層を含む太陽電池が、中間バンドを介した2段階光吸収により発電していること、すなわち、中間バンド型太陽電池として機能していることを確認できたという。

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