ペロブスカイト太陽電池の寿命を3倍以上に伸ばすことに成功――商業化に前進 OIST

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沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2019年1月22日、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の電子輸送層を従来の二酸化チタンから二酸化スズに変えることで、寿命を従来の3倍以上まで伸ばすことに成功したと発表した。デバイスの安定性と拡張性が一気に向上したことで、PSCの市場導入の鍵となる可能性があるという。

PSCは従来のシリコン型太陽電池よりも製造コストが少なく、高い変換効率をもつことから注目されている。しかし、PSCの発電装置は安定性が低く、商業的に製造するには耐久性向上が課題となっている。

今回の研究結果は「PSCで一般的に使用される二酸化チタンが装置を劣化させ、耐久性を制限している」というこれまでの報告を裏付けるものだ。そこで研究グループは、劣化しやすい特性がなく、より強固な導体である二酸化スズを二酸化チタンの代わりに置換。二酸化スズの使用法を最適化することで、安定性があり、効率的かつ拡張可能なPSCを作製した。

PSCはそれぞれが特定の機能を持つ層状の材料で構成されている。ペロブスカイト材料から作られた「活性層」は、光子(太陽光)を吸収。光子が太陽電池に衝突すると、負に帯電した電子と正に帯電した正孔が活性層に生成される。活性層を2つの輸送材料の間に挟むことで、電子と正孔の流れを制御する。

電子が正しい方向に流れるようにするため、多くのPSCには「電子輸送層」が含まれている。この電子輸送層には二酸化チタンが使用されることがほとんどだが、太陽光にさらされるとペロブスカイトと反応し、結果として装置を劣化させてしまう。一方、二酸化スズは二酸化チタンの代替材料として候補に挙がっていたが、これまで大規模な装置に組み込まれた成功実例はなかった。

今回、研究グループは「スパッタリング蒸着」と呼ばれる手法を用い、二酸化スズで効果的な電子輸送層を作製する方法を発見。スパッタリング蒸着の強度と堆積速度を正確に制御することによって、一定の面積においても均一な厚さを有する滑らかな層を作製した。

この手法で作製した太陽電池は20%以上のエネルギー変換効率を達成。さらに、拡張性を実証するために、22.8cm2の実働面積を持つ5cm四方のソーラーモジュールを作製したところ、12%以上の効率であることが分かった。

今後研究グループは、効率を向上させた大規模太陽電池モジュールを製造するために、PSC設計を引き続き最適化するという。また、フレキシブルで透明な材料を用いたソーラーデバイスでの実験を通じ、最適化されたPSC設計を、発電する窓ガラス、カーテン、リュックサック、展開可能な充電ユニットなどに応用することも目指しているという。

フレキシブルな材料から作製した太陽電池のシート

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