内閣府男女共同参画局の「女性役員情報サイト」によると、2012年から2018年の6年間で、日本の上場企業の女性役員数は約2.7倍に増えている。しかし女性役員の割合は、2018年でまだ4.1%にとどまっている。
諸外国の傾向を調べると、2015年の女性役員の割合は、高い水準にあるノルウェーでは38.7%、それほど多くないアメリカでも17.9%あり、日本の女性役員の割合はまだまだ極めて少ない状況だ。
さらに出世を目指す女性にとっては、好ましくないデータもある。アラバマ大学らのグループによると、最高経営責任者(CEO)の性別が解任の可能性に影響を与えているというのだ。女性のCEOは、たとえ会社の業績が良好であっても、男性のCEOと比べて解任される可能性が非常に高いという。
この調査は、CEOの退任に関するプレスリリースや報道記事に基づいたものだ。自発的な退社かどうか判断するために、CEOの年齢や当時会社で何が起こっていたのかも調べている。さらにExecuCompやBoardExといった大規模データベースを参照し、2000~2014年の上場企業のCEOデータも利用した。
その結果、女性のCEOは、男性のCEOよりも約45%解任される可能性が高かった。また、業績が向上すると男性CEOは解任を免れる傾向にあるのに対し、女性CEOの場合は解任を免れないとも指摘している。
CEOの解任は一般的には、取締役会が監視機能を十分に発揮していることを示すことになるため、コーポレートガバナンスが優れている証拠とみなされる。しかしそれが今回の調査によって、「取締役会がCEOを評価し、留任させるか解任するかを決める過程において、目には見えないが深刻な性別に対する偏見があることが明らかになった」と、調査を行ったSandra Mortal准教授は語る。
女性は男性と比べて、幹部職に就くと過剰なプレッシャーと注目にさらされることが調査結果から伺える。女性は、昇進を妨げる目に見えない大きな障壁、いわゆる「ガラスの天井」に直面するというのに、それを打破して会社のトップに上り詰めた後もさらなる問題に直面することになるようだと分析している。
関連リンク
Even if Doing a Good Job, Women CEOs More Likely to be Fired