人体内で発電するカプセル型微生物燃料電池を開発

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飲み込めるカプセル型デバイスは、医学分野におけるさまざまな診断や治療への応用が期待されている。しかし開発を妨げる要因として、デバイスへどのように電力を供給するのかという課題がある。

全長が6mを超える小腸は、検査機器が届きづらい臓器として知られている。この問題を解決するためにカプセル型のカメラが開発された。このカメラは、イメージング、フィジカルセンシング、薬物送達などに利用できるが、電力供給が問題となる。現在は、サステナブルではない使い捨て一次電池が使用されている。

ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の研究チームは、小腸で選択的に発電するカプセル型の微生物燃料電池を開発した。研究成果は、『Advanced Energy Materials』誌に2022年11月28日付で公開されている。

新しいカプセル型バイオ電池は、細菌を利用して低電力を作り出し、センサーやWi-Fiに供給するというものだ。論文の責任著者であるChoi教授の過去10年にわたる研究成果に基づいている。休眠状態の芽胞を形成する枯草菌を利用し、休眠状態の芽胞を、保存可能な生体触媒として利用している。芽胞は栄養のある環境下では発芽し、増殖や代謝の能力を有する細菌構造に戻る。この仕組みを利用した微生物燃料電池だ。

電池を小腸で選択的に発電させる方法としては、消化器官のpHの違いを利用した。pH応答性の膜を利用することで、カプセル型電池は酸性の胃では活性化せず、中性の小腸で活性化する。食道は小腸と同じ中性だが、通過時間が10秒と短いので影響を受けない。

小腸に到達すると約1時間で芽胞は発芽し、ワイヤレス通信に十分な約100μW/cm2の電力密度で発電する。しかし、研究チームはすでに電池の改良を見据えており、発芽までの時間や電力密度の向上を目指している。

研究チームは、低電力の微生物燃料電池を、生物化学センサー、薬物送達システム、電気刺激装置などへ応用可能と考えている。さまざまなデバイスへの応用が期待されるカプセル型バイオ電池だが、実用化には動物実験やヒトによる試験、生体適合試験などが必要だ。Choi教授は「この小型燃料電池は大きな可能性を秘めているが、まだまだ先は長い」と述べている。

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Capsule-sized ingestible biobatteries could allow new view of digestive system

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