男女の賃金格差、今は1.9%でも30年後には700万円以上の差に――米医学界の問題を調査

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男女間の賃金格差を減らそうという活動は、世界的に推進されている。実際のところ、男女間の賃金格差を生涯賃金に換算するとどのくらいになるだろうか? 驚いたことに男女の賃金格差が1.9%だったとしても30年後の格差は約725万円までに広がるという結果が、2018年12月21日に米国医師会が発行する『JAMA Network』にて発表された。

ジョンズホプキンス大学医学部では約10年にわたり、教員の年次給与分析、女性教員の採用、離職した女性教員へのインタビュー、およびセクハラ教育など多岐にわたる活動を続けている。その結果、2005年に2.6%あった男女格差は、2016年には1.9%に縮小した。

1.9%という数字はとてもわずかに思える。ある調査では日本の外科医の賃金格差は約20%だった。しかし、小児科医であり同大の女性活躍推進室の副学部長でもあるBarbara Fivush教授は「われわれはこの数字が実際のところ、最終的に何を意味するのか知りたいと思った」と語る。

Fivush教授らは生涯賃金を見積もるために、給与、昇進までの時間、退職金や貯蓄が与える影響を考慮した新しい資産蓄積モデルを提案した。昇進の有無や時期、老後に向けてどれだけの投資をするかといった要素も考慮に入れ、同モデルには物価上昇や税率、株式や債券の投資収益率の予想値も組み込んでいる。

研究チームはいくつかのシナリオを想定し、考案した資産蓄積モデルに基づいて生涯賃金を見積もった。モデルに当てはめる基礎データとして利用したのは、医学部の内部で公開された2005年と2016年の教員の平均給与だ。有効データ数は2005年が1481人分(女性は31%)、2016年は1885人分(女性は39%)だった。

見積もりの結果、初年度の賃金格差が2.6%で、その後も格差是正がなされないというシナリオの場合、30年後の格差は50万1416ドル(約5500万円)となった。一方、格差が是正され初年度の賃金格差が1.9%となり、その後も継続して格差是正の恩恵を受けた場合でも、30年後の格差は6万6104ドル(約725万円)にも上った。

このモデルはあくまでも標準的な仮定に基づいており、キャリアパスや老後の蓄えに対する考え方は人それぞれだ。しかし「重要なのは、わずかな格差でさえ30年後には影響を受けるということで、格差是正の取り組みは早く始めるべきだ」と研究論文のシニアオーサーであるSara Alcorn助教授は語る。

男女間の賃金格差というと、年次給与ばかりに注目がいきがちだが、生涯賃金の格差に目を向けた取り組みも今後重要になるだろう。

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