微小な重力を測定できる小型低雑音重力センサーを開発――重力の量子的な性質の実験的解明に期待 東北大など

開発した重力センサー

東北大学は2019年2月20日、東京大学や国立天文台と共同で、従来の限界よりも3桁軽い100mgの物体が生成する微小重力を1秒で測定可能な、低雑音の重力センサーを開発したと発表した。

重力の観測はこれまで、主に度量衡分野で発展しており、原子干渉計/ねじれ振り子/光格子時計といったセンサーを用いた実験が進められてきた。しかし、重力は電磁気力よりも格段に弱いため、90g未満の軽い物体の生成する重力はこれまで測定されたことがなかった。

そこで、東北大学は、真空装置の開発を国立天文台グループ、電気系の構築を東京大学、高性能懸架鏡の作製を東北大学電気通信研究所と共同で実施。懸架鏡を一端とした光共振器で、懸架鏡の揺れをレーザー光により観測する重力センサーを開発した。

(左)直径1μmの石英の細線で懸架された質量7mgの鏡 (右)懸架鏡を実体顕微鏡で撮影した写真

また、測定の雑音を低減するために、重力センサーは真空容器内に設置した多段防振装置上に構築。石英の細線で懸架された7mgの鏡の振動を、1秒の測定時間で、10-14m程度の分解能で測定することに成功した。

(左)開発した多段防振装置の略図 (右)真空容器内部に設置される多段防振装置

なお、この重力測定の原理については、鏡の振動を光共振器の反射光量の変化を通して光検出器で測定。そして、鏡のとなりに設置した重力源との重力相互作用による懸架鏡の揺れを、光で検出することで重力が観測できると説明している。

研究グループは現在、微小重力の初観測に向けて、重力源となる機械振動子の開発に着手。センサーと重力源の間で生じる雑音を除去する小型多段防振装置やシールドの開発も行っている。そして、これらの進展により、重力の量子的な性質を明らかにする新たな研究分野の創成が期待できるとしている。

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