可視光域と近赤外線域を同時に撮像できる超高解像度CMOSセンサーを発売 キヤノン

120MXSI

キヤノンは2019年3月26日、可視光域と近赤外線域での撮像が同時に可能な超高解像度1.2億画素CMOSセンサー「120MXSI」を発売したと発表した。1つのセンサーでカラー画像と近赤外線画像を同時に取得できるため、工場における検査や計測、セキュリティー、農業、医療、ロボティクスなどの幅広い分野への応用が可能だ。

120MXSIはフルHD(1920×1080画素)の約60倍にあたる1.2億画素の超高解像度で、画像のトリミングや電子ズームを行った場合でも、高精細で鮮明な画像を取得できる。高精細画像の連続撮影や動体撮影にも対応し、多数の画素から信号を高速で読み出す並列信号処理技術により、最高速度11.3Gbpsで、1秒間に最高約9.4コマの高速読み出しが可能だ。

加えて、カラーフィルターの1画素を近赤外線域用の画素として割り当てることで、1つのセンサーでカラー画像と近赤外線画像を同時に取得できるようにした。カラー画像か近赤外線画像のどちらか一方しか撮影できない一般的なカメラを用いる場合、両画像を同時に取得するには複数台のカメラなどで大規模なシステムが必要となる。しかし120MXSIを活用すれば、カメラの台数を抑え、撮像システムや検査装置を小型化できる。

また、近赤外線域の光を透過する物質では、光の反射率や吸収率の違いなど内部の状態を観察できるため、例えば食品工場の異物混入検査において、カラー画像との併用により検査精度の向上が期待できる。

120MXSIの応用例としては農業がある。植物は生育状況に応じ異なる強さで近赤外線を反射するため、広域の航空撮影に使用することで、広いエリアの作物の生育状況を可視化でき、収穫時期の判断に活用できる。他にも、近赤外線は生体透過性が高いため、カラー画像で観察しながら、同時に近赤外線画像を用いて蛍光造影法(近赤外蛍光を発する薬剤を用いることで体内の生体内組織を観察する技法)により生体内組織を可視化するなど、生体・医療分野での応用も期待される。

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