「ゴム製コンピューター」を使ったソフトロボットを開発 ハーバード大

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Credit: Daniel Preston / Harvard University

ハーバード大の研究チームは、ソフトロボット向けに空気圧で動作するゴム製の論理ゲートを作製した。金属をまったく使わないソフトロボットは、安価で製造が容易なほか、丈夫で耐久性があり、何よりも柔らかいので人間が接触しても重大な事故や怪我の心配がない。研究結果は、2019年3月28日付けの米国科学アカデミー発行の機関誌『PNAS』(米国科学アカデミー紀要)に掲載されている。

柔らかい素材を利用したグリッパーやアクチュエーターをはじめとするソフトロボットが、多数開発されている。しかし、ほとんどのソフトロボットは、金属バルブや電子基板などの「硬い」部品も使っている。

研究チームは、2018年にエラストマー製の柔らかいバルブを作製し、ソフトアクチュエーターへの適用可能性について発表している。今回はその技術を発展させて、加圧空気で動作するシリコンゴムのデジタル論理ゲート「NOT」「AND」「OR」を開発した。たとえば、高圧を入力したとき低圧を出力すれば、NOTゲートの完成だ。いずれの論理ゲートも、スナップスルーと呼ばれる構造的不安定性を利用した双安定性バルブを活用している。

「我々は柔らかい素材と空気圧信号を使い、エレクトロニクスを加圧空気に置き換えることで、コンピューターの思考プロセスを模倣した。どんな動作も表現できる」と研究チームは語る。

研究チームはこのソフト論理ゲートを利用して、水中ロボットを作製。エラストマー容器の中に圧力センサーや論理ゲートを組み込み、風船をつけたものだ。水面近くで低圧を検知すると風船がしぼんで沈み、底のほうで高圧を検知すると風船が膨らんで上昇する。容器のソフトボタンを押せば、そのコマンドで上昇することもできる。

彼らの目標は、人工知能や機械学習を追加してより高い性能を追及することではないようだ。同じ結果が得られるなら、実装が複雑なものでなく、シンプルで安価なものの方が良い、と考えている。

電子機器のないロボットといえば、同大が過去に開発した「Octobot」のように、液体と空気による論理ゲートを使ったマイクロ流体回路を使うこともできる。しかし、マイクロ流体回路はガラスや硬質プラスチックといった硬い材料を使うことが多く、チャネルが狭くて一度に送る空気も少量だ。研究チームの開発した論理ゲートはチャネル直径約1mmと広く、多量の空気を送れるため動作も速い。

また、スリープ時はエネルギーを必要としないため、災害など電力供給が限られる場合に有利となる。さらに、がれきの多い災害現場や放射線量の高い宇宙空間など、従来のハードロボットや電子機器が苦手とする分野で活躍できると、研究チームは期待を込めている。

関連リンク

A rubber computer eliminates the last hard components from soft robots

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