燃料電池の電極を原子レベルで観察、化学反応の動的過程が初めて理論的に解析される

東京大学生産技術研究所は2019年4月25日、燃料電池の電極を原子分解能電子顕微鏡によって原子レベルで観察し、化学反応の動的過程の理論的解明に成功したと発表した。

今回の研究成果は、研究当時は九州大学稲盛フロンティア研究センターに在籍していた古山通久教授、劉淑生氏、サハ・レトン氏、九州大学工学研究院の松村晶教授、東京大学生産技術研究所の梅野宜崇准教授らの共同研究グループによるものだ。

燃料電池の電極や排ガス浄化触媒の活性は、ナノメートルスケールでの「界面」によって決定される。近年の電子顕微鏡技術の発展により、モデル触媒や電極の界面の原子レベルでの構造が少しずつ分かり始めている。だが、実用界面の構造の状態、特にそこでいかに活性が発現しているかは、まだ明らかになっていなかった。

共同研究グループは今回、エネファームに用いられている固体酸化物形燃料電池の実用電極系を対象として研究に取り組み、電極反応サイトとなる界面構造を原子レベルで初めて観察することに成功。観察された界面構造に基づき、大規模・長時間系の反応ダイナミクスの理論解析を実現した。反応サイトが1次元的ではなく固体内も含めた3次元的に広がっていることを解明した。

原子レベルでの電子顕微鏡観察像に基づく電子状態や安定性に関する理論解析はこれまでにも報告されてきたが、化学反応の動的過程の理論的解析は初めての報告だという。今後、高度な計測科学と理論科学を実践的に融合した研究をさまざまな対象にも展開することで、高効率なエネルギー・環境技術の実現につなげていくとしている。

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