デンソーは2019年5月23日、日立パワーデバイスとガソリン、ディーゼルエンジン車に搭載されるオルタネーター(発電機)用高効率ダイオードを共同開発したと発表した。今後は、2019年度に発売される欧州車向けに新開発ダイオードを搭載したオルタネーターの生産を開始し、世界中の生産拠点で順次量産する。
オルタネーターはエンジンの動力で発電し、自動車の全電装品に電力を供給する重要なコンポーネントだ。各電装品に送られてなお余った電力は、バッテリーに送られ蓄えられる。オルタネーターは、滑車とベルトを介してエンジンのクランクシャフトと接続されており、エンジンの回転力で発電するため、オルタネーターの発電効率の向上はエンジンの回転力の負荷低減につながり、車両の省燃費に貢献する。
ダイオードは、電流を一定方向にのみ流す整流機能を持ち、発電された交流電力を直流に変換する機能を持つオルタネーターの構成部品だ。今回、共同開発したダイオードは、その機能を高効率化して交流から直流へ変換する際に生じる電力の損失を大幅に低減し、オルタネーターの発電効率を約6%向上させ、燃費の改善に寄与する。デンソーは、世界10カ国以上で年間2500万台のオルタネーターを生産しており、全てを高効率ダイオードに切り替えた場合、年間で30トンの二酸化炭素を削減できるという。
今回、開発にあたっては従来のオルタネーターの構造のまま搭載できるよう、内蔵するICの制御機能を簡素化して小型化するとともに、立体的に配置する高密度な実装(3次元実装)を行うことにより、整流機能の性能を向上させつつ、従来品との互換性を実現した。