京都大学は2019年6月20日、同大学の研究グループが、大きさ1mmという世界最小サイズの葛飾北斎「神奈川沖浪裏」をインクを一切使わずに、フルカラーで作製することに成功したと発表した。
ポリマー(高分子)が圧力にさらされる時、「フィブリル」という細い繊維を結成する「クレージング」と呼ばれる作用が起こる。このフィブリルが視覚的に認識できるレベルでクレージングが起こった時に視覚効果が得られる。
同大学の研究グループは、OM(Organized Microfibrillation:組織化したミクロフィブリレーション)と呼ばれるクレージングを調整してフィブリルを組織的に形成させ、その形成したフィブリルで特定の色の光を反射する素材を開発した。加えてフィブリル層の周期を調整することによって、青から赤まで全ての可視光を発色することに成功した。今後、最新鋭のカラーパレットが誕生すれば、プリントにインクが不要となることが期待できるとしている。
このOM技術は、フレキシブルで透明なさまざまな素材上に画像解像度数1万4000dpiまでの大規模なカラー印刷をインクなしで行うことを可能にした。今回の研究成果は紙幣の偽造防止などさまざまな技術への応用が考えられるとしている。