- 2019-9-3
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- Bluetooth, Nature Biomedical Engineering, Raza Qazi, うつ病, アルツハイマー病, スマートフォン, パーキンソン病, 光遺伝学, 嗜癖, 痛覚, 神経薬理学, 脳インプラント, 韓国科学技術院(KAIST)
韓国科学技術院(KAIST)の研究チームが、スマートフォンで操作できる脳インプラントを使って神経回路をコントロールするデバイスを発明し、オンライン科学ジャーナル『Nature Biomedical Engineering』に発表した。
このデバイスは、人間の覚醒中枢・睡眠中枢の解明を目指す「神経薬理学」と、光学と遺伝学を融合し神経回路機能を調べる「光遺伝学」に関する動物実験を長期にわたって行うことを可能にするものだ。発表された論文によれば、従来からの神経回路インターフェイスは、大きく機能不足な上、複数の薬物を同時かつ長期に送達する能力が制限されているため、覚醒して自由に行動する動物の長期研究の妨げとなっていたという。
この課題に対処するため、KAISTの研究者達は、交換可能な薬物カートリッジを持つ神経デバイスを発明。これを、投薬のためのミクロ流体チャネルと、光を送るための塩粒より小さい極小LEDを備え、柔らかく、髪の毛の太さほどの極細プローブと共に脳インプラントに組み込んだ。
神経デバイスは低電力Bluetoothでスマートフォンと接続し、神経科学者は研究室内にいなくても、光と薬物送達の正確なシーケンスを開始することができる。論文の代表執筆者のRaza Qazi博士は、「ワイヤレス神経デバイスは、これまでになかった長期にわたる化学・光学による神経調節を可能にする。」と述べている。
神経科学者達は、この神経デバイスにより、パーキンソン病、アルツハイマー病のような脳疾患、嗜癖、うつ病、痛覚などの解明が進むものと考えている。