燃料電池触媒用プラチナーグラフェン薄膜を開発――バルク状プラチナより高い触媒特性

Credit: Allison Carter

2Dグラフェン上に積層された、2原子層の厚さのプラチナ薄膜が、従来のバルク状プラチナと同等以上の触媒特性と耐久性を示す可能性のあることが、ジョージア工科大学の研究チームにより明らかにされた。高価なプラチナ金属の使用量を大幅に削減できるため、燃料電池用触媒のコスト削減に繋がると期待される。研究成果が、2019年9月18日の『Advanced Functional Materials』誌に公開されている。

プラチナは、燃料電池の中核技術である酸化還元反応を効果的に促進することから、燃料電池の触媒に使われているが、高価なため、その使用量を減らす方法が研究されている。また、触媒の耐久性も重要だが、これまでに提案されているシステムでは、触媒特性と耐久性を同時に確保するものがないという。

そこで研究チームは、2Dグラフェン層に支持された厚さ数原子のプラチナ薄膜を用いたシステムを作成し、少量のプラチナ金属で、触媒反応に利用できる表面積を最大化することにチャレンジした。プラチナを使う多くの触媒システムでは、バルク状金属ナノ粒子を用い、粒子の表面原子が触媒作用を果たすが、表面層より深い部分にある原子は、ほとんど触媒として活用されてない。

研究チームは、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相堆積)法を用い、グラフェン層の上に1~3原子層のプラチナ原子層を成長させた。その表面からの結合解離エネルギーを測定し、触媒に一般的に用いられるプラチナナノ粒子の結果と比較したところ、2原子厚さのプラチナ薄膜の解離エネルギーは-8.63eVで、バルク状プラチナの-7.77eVと同等以上の高いエネルギーを示し、触媒としての安定性が充分高いことが示された。

「通常、ある程度以下の薄さの金属薄膜は結合の指向性がなく、互いに重なり合い集団化して粒子を形成する傾向にあるため、安定性に乏しい。だが、方向性の強い共有結合をとるグラフェンでは、1原子層であっても2次元形状を安定的に形成する。グラフェン上のプラチナ薄膜では、プラチナ原子間の金属結合が、グラフェン層の共有結合と一体化し、システム全体を強化している」と、研究チームのFaisal Alamgir准教授は説明する。

これまでの研究では、グラフェンとプラチナのどちらが環境に曝されても、同等の触媒反応を示すことが分かっている。これは、グラフェンがプラチナと一体として作用することを示している。グラフェン側を環境側に配置しても同じ触媒能力が得られるのであれば、プラチナを保護し、耐久性を一層増大できる可能性があると、期待している。今後、この薄膜の触媒環境における挙動を調査する。

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