流れの「かたち」解析による装置を開発 京都大学ら

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京都大学は2019年10月4日、京都教育大学および日本ニューマチック工業と共同で、さまざまな粒径を持つ粉体から細かい粒径の粒子を空気の流れによって分離する分級装置の開発に、流線位相(トポロジー)データ解析を応用し、従来よりも高い分離性能を持つ分級装置の開発に成功したと発表した。

先行研究として、流体現象に現れる流れのパターンを数学におけるトポロジーや力学系理論を用いて分類する数学理論が開発されており、今回の開発では、この理論を用いた流線トポロジーデータ解析という技術が分級装置に応用された。

流線トポロジーデータ解析では、流れに関わる分野の大量の流れのパターンデータのトポロジー構造に固有の文字列を割り当て、文字列情報を機械学習やAI と組み合わせて流れの特徴情報を分別できる。また、従来の技術では捉えられなかった流れに関する経験知を熟練者だけでなく、誰もが理解できる共通言語として抽出可能だ。

流線トポロジーデータ解析による文字列を用いれば、流れの構造の設計指針を立てることができ、文字列情報から未来の流れの変化も予想できる。例えば、一枚の翼のまわりの流れをシミュレーションする場合、従来の方法では各時刻の流れを計算し、それを元に翼に加わる揚力が計算されるが、流線トポロジーデータ解析では、各時刻の流線構造を抜き出し、それに文字列(タグ)を与えるという。

揚力が最大になる文字列を含むパターンを抜き出せば、効率的な状況が起こる流れパターンを揚抗比の計算なしに推定することや、その最大になる文字列を持つ流れが長時間にわたって維持されるような制御や翼構造の形を追求することができる。

装置の開発では、より分級する粉体の粒径を細かくすることを目標にし、流線の状況を数値計算して流線トポロジー解析によって流線を文字化、分類した。開発過程は4段階あり、1)三次元数値シミュレーションの実施 、2)二次元断面流れに対する流線トポロジー解析、3)流れパターンの評価、そして4)数値計算計画の策定のプロセスを繰り返しながら、構造を追求した。

特に2)と3)において理想的な流れの状況が把握され、流線トポロジー解析による文字列として理想的な流れの構造を見極め、数値計算と分球装置の設計パラメーターの調整を繰り返し、分級装置の機材形状を決定した。

試作機を用いて実紛試験を行ったところ、分級により得られる最頻粒径は従来機よりも23%小さくなり、回収率も上昇、分級精度の25%の減少を達成したという。

今後は、幅広い応用に向けた数学的な基本課題解決のための研究を進め、3次元の流れの分類や乱流にも応用できるように開発研究に取り組むという。さらには、環境や医学などの個別の課題解決に向けた理論の拡張研究を進めるとしている。

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