共役高分子ハイブリッドナノ薄膜の非線形光学特性を増強、次世代デバイスの素子材料に期待 東北大

東北大学は2019年10月15日、共役高分子ハイブリッドナノ薄膜の非線形光学特性の増強に成功したことを発表した。次世代の超高速光スイッチングデバイスの実現に貢献する素子材料としての活用が期待できるという。

近年、技術に限界が見られる現在の電子デバイスに代わり、次世代の光デバイスや量子暗号通信技術の研究が盛んになっている。その核心となる基盤材料の1つが非線形光学材料だが、とりわけ三次有機非線形光学材料はキーマテリアルでありながら、光デバイス・システムレベルでの非線形光学特性がここ15〜20年間、向上していない状況にあった。

一般的に、三次非線形光学特性の大きさと光応答時間はトレードオフの関係にある。有機系の共役高分子ポリジアセチレンは超高速光応答性を示す最も有望な非線形光学材料だが、超高速光スイッチングを実現するには非線形光学特性をさらに増強する必要があった。

そこで、東北大学多元物質科学研究所と物質・材料研究機構(NIMS)の共同研究グループは、共役高分子ポリジアセチレンに注目し、ナノファイバー化した。静電吸着法と対流自己集積法によって、配向ナノファイバーと銀ナノ粒子堆積薄膜の積層制御に成功。これにより、ポリジアセチレンナノファイバーの配向薄膜を銀ナノ粒子の堆積薄膜が上下から挟んだ構造をしたサンドイッチ型「ハイブリッドナノ薄膜」を創製した。

さらに、独自に確立した非線形光学特性の波長分散計測法を駆使して、非線形光学感受率を評価。その結果、ハイブリッドナノ薄膜の非線形光学感受率は、ポリジアセチレンのナノファイバー単独のものに比べ、性能指数換算で約7倍向上したことが明らかになった。

東北大学によると、今回実証された結果は、銀ナノ粒子の表面プラズモン共鳴による光電場増強効果によるもので、次世代の超高速光スイッチングデバイスの開発につながる基礎研究と位置付けられるという。

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