MIT、静電吸着を利用したスタンプを開発――カーボンナノチューブで微小物体を掴む

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Image courtesy of the researchers

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、カーボンナノチューブ(CNT)と静電吸着を利用した新しいナノレベルの転写技術を開発した。20nm幅の小さなものも取り上げて、所定の場所に置くことができる。小型電子機器の組み立てや、電圧駆動する吸着ロボットに応用できるもので、研究結果は、2019年10月11日付けの『Science Advances』に掲載されている。

回路基板上の部品はどんどん小さくなっていくが、組み立てるためのグリッパーの能力は限界に近づいている。従来の機械式グリッパーでは、50~100μm以下の小さなものを掴んで所定の場所に置くことはできない。このサイズになると、スプーンですくった小麦粉の一部がずっとスプーンに付着するように、表面力が重力に勝ってしまうためだ。そのため、微小部品の組み立てには、従来のグリッパーに変わる新しいシステムが求められている。

今回研究チームは、電圧のオン/オフで材料の吸着力を制御する静電吸着に着目した。この技術は布地やシリコンウェハといった比較的大きなものを掴むのに利用されているが、マイクロレベルの小さなものに適用するには、新規の材料設計が必要だった。

研究チームが開発した静電吸着スタンプは、まるでブラシのように基板上に形成されたCNTフォレストをベースに、個々のCNTを薄い酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)層で覆ったものだ。CNTに印加すると、アルミナ層が分極し、同時にピックアップしたい微小な導電性部品に反対の分極を誘発する。結果として、CNTベースのスタンプは、部品を吸着して持ち上げることができる。印加を止めると、スタンプと部品は脱分極するため接着性がなくなり、部品を離すことができる。CNTフォレストの密度をまばらにし、アルミナ層を薄くすると、スタンプのオン/オフ比、つまり印加したときの吸着性がより大きくなることも判明した。

あらかじめ、スタンプの凹凸を加工すれば、複雑なパターンも形成できる。実験では、20nm幅の銀ナノワイヤフィルムやポリマー微粒子の転写に成功。また、マイクロLEDの配置もできた。小型電子デバイスの製造工程にスケールアップできると、研究チームは考えている。

「半導体デバイスが機能を進化し続ける中、マイクロプロセッサ、センサー、光学デバイスなど、より小型で多彩な部品を統合することは重要な問題だ。我々の技術は、スケーラブルで費用対効果の高い製造工程につながる可能性がある」と研究チームは期待を込めている。

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“Electroadhesive” stamp picks up and puts down microscopic structures

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