米軍が資金提供するプロジェクトが5G技術を推進する可能性

アメリカ陸軍は、2019年11月21日、Carbonicsと南カリフォルニア大学が共同開発を進めていたカーボンナノチューブ技術が、無線周波数アプリケーションで初めて100GHzを超える速度を達成したと発表した。この研究論文はオンラインジャーナル『Nature Electronics』に2019年11月18日付で発表されている。

この研究は中小企業の技術転用プログラムの一部であり、米陸軍戦闘能力開発コマンド(CCDC)陸軍研究所(ARL)内の陸軍研究事務所(ARO)が資金を提供している。このプログラムでは、特定のアプリケーション向け技術のプロトタイプ実証につながる実行可能性調査に力を入れている。今回の研究結果は、5Gおよびミリ波技術を推進する可能性があり、軍事通信や検知機の性能向上にもつながるという。

約20年間、研究者の間では、その特徴的な1次元電子輸送特性から、カーボンナノチューブは高周波トランジスタ技術に適しているだろうという理論が議論されていた。しかし、高純度半導体ナノチューブを高密度に整列させた配列構造にし、動作するデバイスを作ることが工学的な課題であった。

Carbonicsは、シリコン、絶縁体上シリコン、クオーツ、フレキシブル素材などのチップ基板上にカーボンナノチューブを高密度に配置し堆積できる「ZEBRA」と呼ばれる堆積技術を採用しており、その結果、従来のCMOSデジタル論理回路に直接集積することが可能になっているという。

単一カーボンナノチューブデバイスのメトリクススケーリングに基づいた予測は、この技術が最終的には現在のRF技術の主流であるガリウムヒ素(GaAs)をはるかにしのぐだろうということを示唆している。

「この画期的な成果は、通信チップ技術にとって有望であると長い間考えられていたカーボンナノチューブが実際にそうなる可能性を示しました。次の段階は、この技術を向上させて、大量生産しても機能することを証明することです。最終的に、この技術は、通信、レーダー、電子戦争、その他の探知分野で陸軍のニーズを満たす手助けになるかもしれません」と、AROのプログラムマネージャーであるJoe Qiu博士は語っている。

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