高い特性を示すリチウムイオン電池向け有機電極材料を開発――2種類の有機物を混ぜることで特性が劇的に向上 関西学院大と大阪大

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2種類の分子が作る隙間の様子と、分子が持つ電荷の分布。正の電荷が青、負の電荷が赤で示されている。分子の中心の電荷が逆になっていることがわかる。

関西学院大学は2019年11月27日、大阪大学と共同で、2種類の有機物を混ぜ合わせることで高い特性を示すリチウムイオン電池向け電極材料を開発したと発表した。

リチウムイオン電池は、そのエネルギー密度の高さから多くの電子機器で利用されている。一方で、正極材料に希少元素であるコバルトを用いた物質が使われているため、より安価で高性能な正極材料が求められてきた。とりわけ有機材料は軽くて安価なことから、その代替物質の候補として研究対象となってきた。しかし、有機物の結晶内部にリチウムイオンが入り込む隙間を合理的に作り出すことが難しいことや、結晶が電解液に溶け出し安定性が低いことが原因で、優れた電気特性を発揮させることが難しかった。

今回の研究では、中心に正の電荷を持つ円盤状の有機分子と、負の電荷を持つ円盤状の有機分子を混ぜ合わせた「電荷移動錯体」と呼ばれる材料を開発し、その特性が、単一の有機分子と比較して劇的に向上することを発見した。これは、有機分子が集積した結晶の中に、リチウムイオンが拡散する通路ができたためだと考えられるという。

また、単一の有機分子を用いた場合、分子同士の電荷が反発して密に詰まった構造を取ることが知られている。一方、今回の研究では、異なる符号の電荷を持った分子を1:1で混ぜることで、2種類の円盤状分子が交互に積み上がった筒状の構造を形成。筒と筒の隙間にさまざまな分子を取り込めるようになった。さらに、電荷移動錯体が持つこの隙間を利用することで、高速でリチウムイオンが出入りする高い容量の電極材料の開発に成功した。また、正負の電荷間の強い相互作用によって、この材料の電解液への溶解が抑制されていることも確認した。

今回の研究結果を活用し優れた特性の二次電池が開発されることで、さまざまな電子機器やモバイルデバイスの性能を大幅に向上させることが可能になるという。また、今回開発した技術を活用し、多種多様な有機分子を適切に組み合わせることで、単一の有機物では実現できなかった優れた電極材料の開発が期待できるという。

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