ニューラルネットワークにも「睡眠」が大切――オフライン時間により学習結果が改善

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人間の脳の構造を模した人工ニューラルネットワークは、基礎科学、医療、金融、ソーシャルメディアなど、数多くの技術やシステムを向上させている。人工ニューラルネットワークは、計算速度などいくつかの点で超人的な性能を達成しているが、ある重要な側面で失敗しているという。逐次学習を行うと、新しい情報が前の情報を上書きしてしまう「壊滅的忘却」と呼ばれる現象が発生するためだ。

カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部教授で、睡眠研究者のMaxim Bazhenov博士によれば、人工ニューラルネットワークとは対照的に、人間の脳は新しいトレーニングと睡眠を交互に行うことで記憶を定着させ、最良の学習効果を得ているという。

今回研究チームは、生物の神経系を人工的に模倣したスパイキングニューラルネットワークを使用した。このネットワークは、情報が連続的に伝達されるのではなく、ある時間帯に離散的な事象(スパイク)として伝達される。このスパイキングニューラルネットワークを新しいタスクでトレーニングする際、人間の睡眠を模倣したオフラインの時間を時々設けると、「壊滅的忘却」が軽減されることを発見した。研究チームは、ネットワークが「睡眠」をとることで、古い学習データを明示的に使用することなく、古い記憶を再生することが可能になると説明している。

「今回の研究結果は、これらのネットワークが、人間や動物のように、持続的に学習できることを示しています。人間の脳が睡眠中にどのように情報を処理するのかを理解することは、人間の被験者の記憶を増強するのに役立ちます。睡眠リズムを整えることで、記憶力を向上させることができるのです」と、Bazhenov博士は語る。

さらに研究チームでは、コンピューターモデルを使用して睡眠リズムを強化し、学習を改善する音響など、睡眠中に刺激を与えるための最適な方法を開発するプロジェクトが進行中だ。これは加齢やアルツハイマー病などの記憶に影響を及ぼすことに対しても重要なアプローチだと言えるだろう。

この研究成果は『PLOS Computational Biology』 2022年11月18日号掲載された。

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