計算化学者が導き出した「美味しいエスプレッソの淹れ方」とは

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美味しいエスプレッソの秘密は、バリスタが知っているはずだ。ところが、オレゴン大学をはじめとする研究チームは、数学的モデルと実験から、効率的かつ味のばらつきがないエスプレッソの抽出条件を導き出した。研究結果は、2020年1月22日付けの『Matter』に掲載されている。

一般的に、エスプレッソは細かく挽いた豆をたっぷり詰めて抽出するが、苦みと酸味のバランスが難しく、味にばらつきが出やすいという。「低コストでサスティナブルであるために、コーヒー豆からより多くを抽出するとともに、苦みのない美味しいエスプレッソを味わいたいと思っている」と、Christopher Hendon氏は語る。彼は、化学的な観点から最高のエスプレッソ「神の一杯(God Shot)」を追求する計算化学者で、同大学では「Dr. Coffee」とも呼ばれている。

研究チームは、豆の粉砕サイズ、水圧、流量、コーヒーの量や抽出速度を解析して、最適な抽出収率を求めようとしたが、コーヒー抽出モデルの開発は容易ではなかった。抽出収率は、粉を通過していく水の流れに基本的に依存するが、グラインダーで挽いた豆は均一ではなく、様々な形状とサイズを持った数百万個の粒子で構成されているため、高性能の計算機を使っても手に負えない。

そこで研究チームは、粉からカフェインや他の分子が溶出する様子が、バッテリーの電極を移動するリチウムイオンの動きと似ているという点に着目して、電気化学で使うマルチスケール手法を取り入れた。

予想では、粗挽きにすると抽出収率が単純に減少すると思われたが、実験では、抽出収率と粉砕設定の関係にはピークがあり、粗すぎても細かすぎても抽出収率が低くなるということが分かった。細かすぎると水流が一定でなくなるため、味の再現性がなくなるようだ。また、抽出収率が高いと苦みが、低いと酸味が強くなる。つまり、抽出収率と挽き具合、粉の量の関係が分かれば、好みの味になるレシピが作成できる。

Hendon氏によれば、これまで20gの粉を25秒かけて抽出するのが良いとされてきたが、実は粉は15gで良く、少し粗く挽き、7~14秒で抽出するのが良いという。「最終的に豆からうまみを抽出できるので、コーヒーの濃さにもあまり影響しない。苦みや雑味も決してカップには入らない」と語る。ばらつきがないため、何度でも同じ味を再現することができるとしている。

実際の店舗で新しい抽出方法を試したところ、年間で3620ドル(約40万円)の増収となったという。これは、アメリカ国内では年間11億ドル(約1200億円)の節約になるという試算だ。コーヒー豆の使用量が減ることで、生産地の天候不順などによるコーヒー豆の供給量の変動にも対応できると考えている。

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UO chemist helps find path to consistently good espresso

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