- 2020-3-2
- 技術ニュース, 電気・電子系
- 300 mmウエハープロセス, TIA推進センター, シリコンフォトニクスデバイス, シリコンフォトニクスデバイスチップ, 産学官連携, 産総研, 研究
産業技術総合研究所(産総研)は2020年2月27日、所内の電子光技術研究部門とTIA推進センターが共同で、産総研以外の幅広いユーザーが利用可能な国内初のシリコンフォトニクスデバイスの試作体制を構築したと発表した。
シリコンフォトニクス技術は、量産性、経済性、微細加工性に優れるシリコン電子回路の製造技術をベースとした超小型光デバイスの製造技術だ。ポストムーア時代において、IoTや5Gなどの将来の情報通信システムで必要とされている安価で高集積化された光デバイスの量産を可能とする技術として期待が大きい。
従来の光デバイス技術に比べけた違いの量産能力を持つシリコンフォトニクス技術だが、それに必要な大規模な製造設備を光デバイスメーカーが保有することは困難。シリコンフォトニクス技術の普及には、その研究開発でもシリコン電子回路と同様に、設計と製造を分離したエコシステムを構築する必要があった。
そこで産総研は、300mmウエハープロセスを利用した研究開発用公的シリコンフォトニクス試作体制を構築した。
技術面では、これまで産総研で独自に開発してきたシリコンフォトニクス技術を基にデバイス設計基本情報や標準デバイスメニューをまとめたプロセスデザインキット(PDK)を整備し、ユーザーによるデバイス設計を容易にした。
運用面としては、産総研コンソーシアムであるシリコンフォトニクスコンソーシアムの活動の一環として、設計情報の集約や試作デバイスの分配などを行うユーザー窓口機能を設置し、利便性の良い試作体制を構築した。
今後は、最新のシリコンフォトニクス技術の開発を継続し、開発技術を順次PDKに反映することによって、常に最新技術を提供できる試作体制を整備していくという。また、国内外のユーザーに研究開発試作を幅広く提供し、開発技術の普及に努めていく予定としている。