化学に関する確率論――結晶の成長から、真にランダムな乱数の生成に成功

Source: © 2020 Edward C Lee/Elsevier Inc

暗号化やその他の数学モデリングでは乱数生成が必要不可欠だ。人為的に選んだ数字は完全にランダムなものとは言えず、コンピューターのアルゴリズムが生み出す乱数には規則性があり、あくまで「疑似的な乱数」だ。完全にランダムな乱数を得るために、放射性崩壊や大気中のノイズのような自然発生源を利用することもあるが、それでも乱数を手に入れるのは非常に難しい。

今回グラスゴー大学の科学者たちが、真にランダム性のあるソースから乱数を獲得する新たな方法を発見した。それは、結晶を成長させることによるものだ。具体的には、結晶化のプロセスに従ってランダムな一連の数字を見つけて情報を暗号化するロボットを構築した。このロボットは、ウェブカメラを使って、多数の結晶の成長を観察し、そのサイズや成長の方向、色といった測定値をもとに、0/1のデータを乱数として生成することができる。そして、個々のデータやそのエントロピーは化学反応によって全く異なることが分かった。

実験では、硫酸銅の溶液を含3つの溶液を使い、成長した結晶の観察結果を用いて乱数を生成した。このようにして得られた乱数を、ランダム性の品質を評価する統計テストにかけたところ、(規則性に基づく)クラッキングは容易ではなく、結晶と化学反応に基づく暗号化機能は十分に強いという結果を得た。

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