光ピンセットで原子をつかみ、原子の衝突と反応を観察することに成功

ニュージーランドのオタゴ大学の研究チームは、レーザーを使って原子1つ1つを「つかむ」ことに成功した。レーザー、ミラー、真空チャンバーといった複数の装置と顕微鏡を組み合わせて、原子の複雑な相互作用を観察したもので、将来の量子技術の発展にも大きな影響を与える可能性がある。研究結果は、2020年2月18日付けの『Physical Review Letters』に掲載されている。

研究チームは、トースターサイズの真空チャンバーの中で、レーザービームの光ピンセットを使って、3個のルビジウム原子を約100万分の1ケルビンまで冷却し、個々にトラップした。そして、それぞれの原子をゆっくり組み合わせて相互作用させることで、3原子のうち2つが分子を形成したことを確認した。

従来は原子集団からの統計的な実験しかできなかったが、この方法では原子同士が衝突し反応する様子がわかる。この技術が発展すれば、特定の分子の生成や制御の可能性も高まる。現在の携帯電話が回路の集積化により1980年代のスーパーコンピュータよりも性能が上がってきたように、量子コンピュータをはじめとする量子技術の発展にとっても有益になるだろうと、研究チームは期待を込めている。

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