ビールの醸造を加速する――多孔質ナノ構造のバイオボット「BeerBots」を開発

アメリカ化学会(ACS)は2023年4月24日、一人あたりのビール消費量が世界一として知られるチェコにおいて、研究チームがビール醸造過程を加速するナノ構造のバイオボット「BeerBots」を開発したと発表した。

幅2mmのBeerBotsビーズは、活性酵母、磁性酸化鉄ナノ粒子、および藻類由来のアルギン酸ナトリウムを組み合わせた混合物を、塩化第二鉄溶液に滴下して製造する。さらに電気化学セルのアルカリ溶液に浸すことで、ビーズの半面は多孔質となる。

酵母を含有するビーズは、麦汁の糖を発酵する過程で、二酸化炭素の泡を発生させ浮上する。二酸化炭素を空気中に放出すると再度沈み、発酵する糖がなくなるまで上下運動を繰り返す。最終的に沈殿するビーズは、磁石に吸着して容易に分離できる。収集したビーズは、さらに最大3回の発酵サイクルで有効に使えるという。

研究チームは、通常の遊離酵母より、上下運動するBeerBotsのほうが糖を速く発酵することを確認した。プロセスを高速化することで、微生物による腐敗リスクを減らせる。また、遊離酵母の除去に必要とされる濾過工程も不要なため、ビールをより短期間で生産できるとしている。

関連情報

‘BeerBots’ could speed up the brewing process – American Chemical Society

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