ナノマシンにおける動作制限の条件を表現する不等式を発見――「ゆらぐ機械」の性能を特徴づける研究へ 京大と東北大

京都大学は2020年4月6日、東北大学と共同で、10nmほどの極小の機械が周辺の分子の影響を受けて相対的にゆらぎながら作動する「ゆらぐ機械」の、動作条件変更時の応答限界を表す不等式を発見したと発表した。

自然界にあるエネルギーを熱として取り出して永遠に動作し続けるのが不可能なことは、熱力学第2法則によって体系化されている。同法則では、熱的に孤立した系においてはエントロピーを減らすことができないとされ、それは普遍的な不等式によって表すことができる。

近年このような熱力学とエントロピーは、生体内で動作するような分子機械も対象とするようになってきており、10nm程度の分子モーターなどの極小の機械でも周辺の分子との衝突によって大きなゆらぎが発生し、マクロな機械と同様に自然界の環境エネルギーを無尽蔵に活用することができないことが分かってきた。

今回の研究では、ゆらぎと応答を「相対エントロピー」と呼ばれる情報論的な量を定量化することで関係づけ、ゆらぎを伴う機械の性能に関する基本限界を定式化した。

理論的には、系の条件をわずかに変えた場合の確率分布の変化を相対エントロピーの定量化を出発点とし、まずその操作に対する測定量の変化(応答)とゆらぎの相対エントロピーによって不等式で結びつけることができる。さらに物理的な問題として、その相対エントロピーが熱力学エントロピーの変化と関係づけることができる。この2つを組み合わせることで、ゆらぎ、応答、およびエントロピー変化を不等式で関係づけた。

京都大学では、今後、今回発見した基本的限界を表す不等式を活用して、ゆらぐ機械の性能を特徴づける研究を行う。さまざまな不等式によって区切られた領域の中で、生体内のおのおのの分子機械が位置する場所を定量化することで、生体分子を分類する指標を与えたいと考えている。さらに最終的には、生体内分子機械の設計原理を不等式によって解き明かすという大きな目標の達成を目指す。

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