- 2020-5-8
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- ITO(酸化インジウムスズ), Optica, コンピューター, ジョージ・ワシントン大学, スマートフォン, タッチディスプレイ, フォトニックデバイス, フォトニック導波路, 光人工ニューラルネットワーク, 太陽電池, 電気光学(EO)変調器
米ジョージ・ワシントン大学の研究チームは、高速で動作する小型の電気光学(EO)変調器を開発した。シリコンベースのフォトニック導波路に薄いITO(酸化インジウムスズ)を追加することで、1μmサイズのデバイスでGHz級の高速変調が可能になった。研究結果は、2020年4月13日付けの『Optica』に掲載されている。
EO変調器は、電圧印加による屈折率変化、いわゆる電気光学効果を利用した信号変調器だ。コンピューターやスマートフォンの電気データを光通信用のデータに変換し、動画のストリーミングといった大容量で高速のデータ通信を可能にする。
一方、ITOはタッチディスプレイや太陽電池によく使われる透明の導電性酸化物だ。研究チームは、ITOの薄層をシリコンベースのEO変調器に組み込み、新しい広帯域GHz変調器を作製した。サイズも約1μmと、代表的なEO変調器よりも大幅に小型化している。ITOを使った高速変調器の実証は初めてだという。
温度変化にも強く、伝送可能なデータ量も多いことから、人の脳を模倣する光人工ニューラルネットワークなどの光コンピューティングや次世代の通信ネットワークなどさまざまな用途が期待できる。
研究チームは「GHz級の高速ITO変調器という、10年にも及ぶ目標を達成できたことを嬉しく思っている。今回の結果は、性能向上と小型化を両立した次世代の再構成可能なフォトニックデバイスにつながっていく」と、その成果を語っている。
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