オムロンは2020年6月29日、人の感性や熟練者の経験を再現できる欠陥抽出AI技術を搭載した画像処理システム「FHシリーズ」を、同年7月1日から発売すると発表した。
同社によると、近年の熟練技能者不足や人件費高騰に対する対策の1つとして、検査工程の自動化の必要性が高まっている。また、新型コロナウイルス感染防止の観点から、ものづくり現場におけるソーシャルディスタンス確保のための省人化や自動化の要求も高まってきている。
しかし製品の外観検査では、さまざまな色や大きさのキズの判別や、良品自体に大きくばらつきがある場合の欠陥品の判定など、熟練者の感性や経験が必要になる。また、人と同様に対象物の特徴を認識し、判断基準を自動学習できるAIを稼働させるためには、大量の画像データを用意して学習したり、AIエンジニアやAI向けのハードウェアを用意しなければならないなどの課題があった。
今回発売する画像処理システムは、検査員がノウハウとして持つ「背景状の違和感を欠陥とする見方」をAIで技術化。画像フィルターとして搭載することで、複雑な背景に対しても、傷のサンプル画像や調整が不要で傷や欠陥を検出することができる。
また、ばらつきを許容するノウハウをAIで再現、自動化したり、良品状態の画像データを学習したりすることで、人が長期間かけて獲得する検査に関する技術やノウハウを短期間で獲得することができるという。
既に検査業務などに導入実績のある同社のFHシリーズハードウェアに処理項目として同機能を搭載しており、AI専用のハードウェアやエンジニアを用意する必要がないのも特徴だ。