わずか30μAで動作する音響解析機能を内蔵したA/Dコンバーターを開発――機器の待機電力を大幅に削減

旭化成エレクトロニクス(AKM)は2020年7月21日、30μAの消費電流で動作する音響解析機能「Acoustic Activity Analyzer(AAA)」を搭載したシステム起動IC「AK5706」を開発したと発表した。現在サンプル提供中で、販売は2020年秋からの開始を予定している。

AAAは、AKMが独自に開発した音響解析機能で、単なる音量レベルの検出ではなく使用環境に応じて調整可能な複数の音響パラメータにより高度な設定が可能。AAAに入力された信号は、信号解析ブロック前段のNoise Level Detector(NLD)を通すことで常に周囲のノイズレベルを追従し、ノイズの多い環境下で発生する誤検知を低減する。周囲のノイズレベルに対して大きな音が入った場合は、入力された信号を周波数の高低/長短から4象限に分類する。

AK5706では、あらかじめ設定したパラメータで想定した音をAAAが検出すると、 内蔵A/Dコンバーターや外部のSoCを起動するWakeup信号を出力する。AK5706を起動トリガーとして使用すると、SoCなどのシステムをスリープさせることが可能で、機器の待機電力を大幅に削減できる。Wakeup信号は、音の検出以外にも、外部のセンサーとの組み合わせ(AND/OR)により生成できる。外部センサーには、人感センサー、加速度センサー、磁気センサーなどさまざまなセンサーが使用できる。

AK5706は64キロバイトの内部バッファーを搭載しており、AAAによるWakeup信号出力後に、SoCなどの外部システムが起動するまでの時間分の録音データ(最大2秒)を保持できる。バッファーに保存されたデータはSPIを介して高速で読み出し、音声アシスタントを搭載するウェアラブル機器やガラス破壊音のような異常音を検知するセキュリティ機器など、さまざまな用途に対応する。

また、24ビット分解能と105dBのダイナミックレンジを確保する2ch ADCを搭載しており、5m以上の長距離録音が求められるセキュリティ機器にも適している。チャンネル当たりの消費電力は0.85mWだ。

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