- 2021-8-20
- 技術ニュース, 機械系
- JAXA, デトネーションエンジン, パルスデトネーションエンジン, 名古屋大学, 回転デトネーションエンジン, 宇宙航空研究開発機構, 室蘭工業大学, 慶應義塾大学, 研究
名古屋大学は2021年8月19日、慶應義塾大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、室蘭工業大学との共同研究で、世界で初めてデトネーションエンジンの宇宙飛行実証に成功したと発表した。デトネーションエンジンは今回の実証実験の成功により、深宇宙探査用キックモーターや、ロケットの初段/2段エンジンなどでの実用化に大きく近づくとしている。
デトネーションエンジンは、1~100kHzと極めて高い周波数でデトネーション波や圧縮波を発生させることで反応速度を格段に高める。ロケットエンジンを革新的に軽量化できるばかりか、推力を容易に生成できるようになり、エンジンの高性能化が期待できる。
名古屋大学の未来材料・システム研究所と同大学院工学研究科などがつくる共同研究グループが開発したデトネーションエンジンシステムは、観測ロケットS-520-31号機のミッション部に搭載され、JAXA内之浦宇宙空間観測所から2021年7月27日に打ち上げられた。
第1段のロケット分離後に、宇宙空間において回転デトネーションエンジン(6秒間作動、推力500N)、パルスデトネーションエンジン(2秒間作動×3回)が正常に作動。画像、圧力、温度、振動、位置、姿勢データがテレメトリによって内之浦宇宙空間観測所の宮原テレメータセンターへ送信され、洋上回収した再突入カプセルからも取得できた。
既存のロケットエンジンがデトネーションエンジンに置き換われば、エンジンの軽量化/高性能化につながる。航空宇宙機用のエンジンや、航空宇宙機のシステムを大きく変革していくきっかけとなることが期待できるという。
なお、デトネーションエンジンシステムの開発はネッツ、明治電機工業が協力。制御/計測システムは日本ナショナルインスツルメンツの製品が使用された。