完全自動運転車の実現はいつ?――MITの見解は最短でもあと10年

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MITのタスクフォースチーム「Work of the Future」が、自動運転技術の現在と未来、雇用に与える影響を分析した最新の報告書によると、完全自動運転車が広域に展開されるには、都市部であっても最低10年はかかるという。また、その拡大の速度はゆっくりとしたもので、地域ごとに発展の度合いが異なるだろうとしている。

完全自律走行する車、トラック、バスの実現は、地上の輸送に革命をもたらすと期待されている。交通事故による死傷者は減り、渋滞も解消され、都市の景観が変わるだろう。物やサービスの流通モデルが新しくなり「物理的なインターネット」が生まれるかもしれない。

しかし、MITの報告書によれば今日もっとも楽観的なタイムラインでも、自動運転レベル4の普及は10年以上、レベル5はさらにその先だという。その理由として、技術面で性能が一直線に向上する保証がないことと、センサー/システム/インフラにかかるコストを挙げている。レベル4の車両は、LiDARなどのセンサーやコンピューターが非常に複雑で、生産数も少ないために、なかなかコストは下がらない。近年では、コンピュータービジョンの性能も格段に進歩しており、高価格高性能のLiDARを使用するか、複数のカメラと低価格低分解能のレーダーを使うかといった議論はいまだに続いている。

また、自動運転車を監視するための人員コストも無視できない。自動運転タクシーを使ったある研究では、監視員のほかライセンス、保険、保守、システムコストといった点で、個人所有車とのコスト競争に苦戦していた。

レベル4にはインフラの整備も必要なため、人口の多い都市部から展開されるだろう。また、現在のセンシング技術は天候にも左右されるため、実証実験を気候のよい場所で実施することが多い。こうした理由から、完全自動運転システムの導入と展開は、今後も地理的要因の影響を受けると分析している。

自動運転の普及は一方で、自動車製造、運転、保守で生計を立てる人々に、失業への不安をもたらしているが、報告書では、車両の遠隔操作など新しい雇用が創出されると予測している。トラック業界は自動化による影響を受けやすいと思われているが、荷物の積み込み/積み下ろしやメンテナンスなど人間の手を必要とする仕事は残るとしている。先進のモビリティに従事する労働力の育成に、国や地方が投資することが重要だと提言している。

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Autonomous Vehicles,Mobility, and Employment Policy: The Roads Ahead

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