NASA、大型で複雑な構造のロケットエンジンノズルを3Dプリント――宇宙ロケットへの搭載を目指す

NASAは、金属粉末とレーザーを用いてロケットエンジン部品を製造する3次元積層造形(AM)技術の開発を進めており、2020年6月2日には、NASAがこれまで造形した中で最大級のノズルを製造したと発表している。この技術開発は、NASAの「Rapid Analysis and Manufacturing Propulsion Technology(RAMPT)」プロジェクトの一部として行われているものだ。

この造形技術は材料粉末を造形部分に噴射すると同時にレーザーを照射して溶融積層するもので、指向性エネルギー堆積法(DED)と呼ばれる。粉末噴射ノズルとレーザー光照射部は、ロボットに取り付けられたプリントヘッド内に統合されており、レーザーで加熱されてできた溶融池(メルトプール)に金属粉末を注入して、決められたパターンに従って1層ずつ造形する。この製造方法により、ロケットエンジンノズルや燃焼室などの非常に大型で複雑な構造のロケットエンジン部品を、従来よりも速く安く製造でき、時間とコストを大幅に削減できる。

RAMPTチームが製造したロケットエンジンノズルのサイズは、直径40×高さ38インチ(約1.0×約0.97m)で、内部に極低温推進剤が流れる冷却流路を備えているが、その構造は非常に複雑だ。従来の溶接法で製造する場合は約1年かかるが、今回はたった30日と記録的な速さで製造できた。

NASAの大型打ち上げロケット「Space Launch System(SLS)」プログラムは、RAMPTの積層造形技術による製造工程に投資しており、RAMPTと共同で、この技術を用いて直径最大5フィート(約1.5m)、高さ約7フィート(約2.1m)の流路冷却ノズルを製造し評価しているところだ。

今後、一連の厳格な燃焼試験を通じて、サブスケールのノズルを打ち上げ時と同じ燃焼温度6000度と持続する圧力にさらし、この技術の耐久性と性能を実証する予定だ。

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