地球観測衛星「Sentinel-6 Michael Freilich」打ち上げに成功――海面レベルを高精度に観測

Credits: NASA/JPL-Caltech

NASAは2020年10月16日の記者会見で、地球観測衛星「Sentinel-6 Michael Freilich」について最新情報を発表した。同衛星を搭載したSpaceXは2020年11月21日、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地から打ち上げられ約5年半のミッションに旅立った。

Sentinel-6 Michael Freilichは、ゴールドのボディとソーラーパネルを広げた姿から、「Golden House(黄金の家)」と呼ばれる。その特徴的な容姿だけでなく、NASA地球科学部門の元ディレクターMichael Freilich博士の名前が付けられていることや、NASAとESA(欧州宇宙機関)による初の地球科学衛星ミッションとして注目を集めている。

Sentinel-6は、1992年にはじまったNASAとCNES(フランス国立宇宙センター)による海洋観測マッピングミッション「TOPEX/Poseidon」、2001年から後継機として打ち上げられ現在まで観測を続ける「Jason 1/2/3」シリーズを引き継ぐ。30年にわたり、これら衛星が取得するデータは海面レベル研究のもっとも信頼できる基準となっている。2025年には、Sentinel-6のツイン衛星「Sentinel-6B」が打ち上げられ さらに約5年にわたり取得データの精度向上に貢献する予定だ。

Sentinel-6は、気候変動が海岸線をどのように変化させてきたのか、またどの程度のスピードで進行しているかの解明に役立つ情報を提供する。海と大気の関係性は複雑に絡み合っており、温室効果ガスの増加により閉じ込められた熱の約90%を海が吸収し、海水温の上昇が海を膨張させる。その膨張が現在の海面上昇の約3分の1の要因となっており、残りは氷河や氷床の溶解によるものだという。

2001年以来海面レベルをモニタリングしてきたJasonシリーズは、メキシコ湾流や、エルニーニョ、ラニーニャなど大規模な現象は観測できるが、航行や漁業に影響する海岸線近くの海面レベルといった小さな変化を捉えることができなかった。

Sentinel-6は直下観測マイクロ波放射計(AMR-C)やPoseidon-4電波高度計を搭載しているため、より高精度な測定が可能で、海岸線近くの小さな変化も捉えることができる。また、温度/湿度など大気データを取得、提供することで、天気予測や気候モデルの精度向上もサポートする。

「継続的な観測データの記録は海面レベル上昇の追跡に不可欠で、原因究明に貢献する。Sentinel-6は、回数と精度両方において観測を進化させる。ミッションは偉大な科学者でリーダーであるMichael Freilich博士を称えるとともに、彼の偉業を引継ぎ、海洋調査の質を高めるだろう」と、NASAの地球科学部門ディレクターKaren St. Germain氏は話す。

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