富士キメラ総研は2019年3月19日、RFID、TOF(Time Of Flight)、超音波センサーなど、IoT環境の実現に向けてさまざまな分野で採用が進むセンサーの世界市場について調査した結果とその将来予測を、「2019 センサーデバイス/ビッグデータ・IoT市場調査総覧」の「上巻:センサーデバイス編」で発表した。同社は、センサー世界市場が2020年度には約7兆7000億円に達すると予測している。
同調査によると、RFIDは低価格化により、主に流通や小売での需要が急速に増加している。現状ではアパレル業界での活用が中心であり、ユニクロやZARAなどの大手アパレルメーカーが採用している。今後はドラッグストアやスーパーマーケット、スポーツ用品店などの小売店でも活用が進むと見られる。プロモーションでの活用も増えており、さらに活用が広がると予想される。
TOFには、画素数が少なくシンプルな設計のDirect TOFと、それに比べると高価だが高解像度化に適したPhase TOFがある。富士キメラ総研の調査によると、2018年度はDirect TOFが市場の大半を占めた。その用途はスマートフォンでの近接センサーやオートフォーカスが主で、Appleなどに採用されたため、今後の大幅な拡大が見込まれる。一方、Phase TOFは3D顔認証やAR、車載用途での採用に向けた開発が進んでいる。
超音波センサーは、障害物の検知を行うクリアランスソナーや駐車支援などの車載用途が市場の大半を占めている。特に日本や米国、欧州などの先進国を中心にクリアランスソナーの標準搭載が進んでいるため、需要が増加している。今後は自動車メーカーが積極的に研究している自動駐車の用途での採用が増えることが期待される。自動駐車の実現に向け、カメラやミリ波レーダーなどほかのセンシングデバイスとの特性の違いを補う形で、複合的な活用が進むと見られる。
富士キメラ総研はRFID市場が2018年度に2100億円に成長すると見込み、2022年度には2017年度比2.3倍となる4090億円に拡大すると推計する。TOFについては、2018年度に199億円に伸長し、2022年度には2017年度比4.5倍となる652億円に達すると予想する。超音波センサーについては、2018年度に638億円に増加するとし、2022年度には2017年度の185.8%となる1020億円に至ると推計。センサ市場全体としては2018年度に6兆1772億円、2022年度には7兆7009億円に達すると予測している。