- 2021-1-8
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- 1K(-272.15℃), Applied Physics Letters, 二酸化ケイ素, 米国立標準技術研究所(NIST), 超伝導ニオブ共振器, 超伝導温度計, 超伝導量子コンピュータ
米国立標準技術研究所(NIST)の研究者は、1K(-272.15℃)以下の極低温が計測できる超伝導温度計を発明した。
超伝導温度計の動作温度範囲は1000mK~50mK(-272.15~-273.1℃)で、5mKまで広げられる可能性がある。チップスケールデバイス用の従来の極低温温度計よりも小さく、高速で利便性が高く、かつ大量生産することができる。超伝導温度計の詳細は、11月13日発行の査読付き学術誌『Applied Physics Letters』に掲載されている。
サイズがわずか2.5×1.15mmの新しい温度計は、他の極低温マイクロ波デバイスに埋め込んだり貼り付けたりして、チップに取り付けたときの温度を計測できる。研究者たちは、この温度計を使用して、超伝導マイクロ波増幅器の温度上昇の高速で正確な計測を実証した。
NISTの温度計は、二酸化ケイ素でコーティングされた超伝導ニオブ共振器で構成され、共振器の固有振動数が温度に依存するという原理を応用している。温度計は、計測した周波数の変化を温度にマッピングする。対照的に、従来の極低温温度計は電気抵抗に基づいており、室温の電子機器に接続する必要があるので、加熱や干渉を引き起こす可能性がある。
NISTは、この温度計は超伝導量子コンピュータのプロセッサーチップの温度監視など、適切に動作するために低温状態を維持する必要がある分野への応用が期待されるとしている。