愛知製鋼は1月7日、EV(電気自動車)向け電動アクスルの従来比40%の小型軽量化を実現する技術実証に成功したと発表した。
電動アクスルは、電動車に不可欠な減速機、モーターを一体化した駆動ユニットである。電動化を加速させるためには、小型軽量/省資源で電力消費率に優れた大量の電動アクスルが必要不可欠となる。
開発にあたっては、同社独自のDy(ジスプロシウム)フリーボンド磁石「マグファイン」と、鍛鋼一貫による高強度材料を融合させ小型軽量化を行った。マグファインは、レアアースであるDy不使用のNd(ネオジム)系異方性磁石粉末に種々のプラスチックを混ぜ合わせて成形した高磁力、高電気抵抗の磁石である。
開発品では、EV向けモーターとしては最大回転数3万4000回転/分で回し、実用域まで高減速化することで電動車に求められるトルクを引き出している。
試作モーターは、マグファインの特徴であるロータコアへの一体成形(モーターロータに磁石コンパウンドを充填しつつ、磁場をかけて成形)を活かして、超高速回転により小型化を達成している。試作減速機にも、鍛鋼一貫による高強度材料で構成したトランスアクスルギヤ(現行ギヤ比20%軽量化)を用いて小型化を図った。これらを組み合わせ、従来の電動アクスル比で約40%の小型化を目指す。
リサイクル性においては、マグファインはボンド磁石なので、磁石使用後に樹脂だけを分解/除去することで、Ndが含まれた磁粉の再利用ができる。実証実験では磁粉回収率90%を達成した。
今後は電動アクスルのさらなる開発を進め、実用化に向けた素材、部品および工法開発を推進し、電動車の本格普及に不可欠な電力消費率向上と資源対策を同時に進めていく。多くの電動車に搭載されているパワーカード用リードフレームの生産とともに、加速する車の電動化に対応していく。
なお、本成果を1月20日(水)から22日(金)まで開催される「第13回オートモーティブワールド」およびオリジナル特設WEBサイトで紹介する予定である。