ワイヤレスでバッテリー不要な極薄型歪センサーを開発――従来の10倍の感度を達成

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シンガポール国立大学(NUS)の研究チームが、従来の10倍の感度で微小な歪を測定できるナノセンサーを開発した。極薄かつバッテリー不要で、ワイヤレスでフィードバック送信できるため、精密加工用ロボットアーム、ウェアラブルやソフトロボットのダイナミック制御、ロボット手術における生体内センサーなど、広い応用が期待される。研究成果が、『ACS Nano』誌の2020年9月号に公開されている。

近年、電動アクチュエーターや人工筋肉などの動力を用いた、外骨格型あるいは衣服型のウェアラブルやパワードスーツが、医療介護分野やリハビリ分野、物流荷役など重量物を扱う作業分野などで注目されている。そこでは、従来の歪センサーのレベルを遥かに超えた、広い歪量範囲における高感度、直線性などを備えた歪センサーが求められている。

従来の歪センサーは、特定の歪量範囲における検知性能には優れるものの、広い歪量範囲が必要な分野に対しては限界がある。更に、このような新分野では、検知データをリアルタイムでフィードバックして、動作をダイナミックに制御することも重要になっている。

今回研究チームは、グラフェンと同様の2D材料であるMXeneのピエゾ抵抗効果に着目し、このような新しい技術分野に対応できる歪センサーの開発にチャレンジした。2011年に発見されたMXeneは、遷移金属の2D層と炭素または窒素の2D層が交互に積層配列した2D材料で、エネルギー貯蔵や触媒、エレクトロニクス、センサーなどに、広範な応用が期待されている。

研究チームは、MXeneの一種であるTi3C2Txのピエゾ抵抗効果を利用した歪センサーを考案すると同時に、近距離無線通信NFC技術と統合することに成功した。歪センサーのゲージ率として従来技術の10倍に相当する1万4000以上の超高感度を有し、また非常に高い直線性とSN比を実現している。更に、従来の標準的なセンサーでは、作動歪量範囲が100%程度であったが、開発された歪センサーは0~900%の範囲で制御することができ、幾つかのセンサーを複合的に組み合わせることによって、用途に応じた超高感度センサーシステムを構築できる。

応用可能な分野として、半導体チップのような微細で複雑な製品を製作する精密加工分野があり、歪センサーをロボットアームに電子皮膚のようにコーティングして、伸縮時の微妙な動きを許容誤差角度1度以下でダイナミックに制御できる。医療介護分野では、ウェアラブルなリハビリ用グローブに装着して患者の運動を検知し、手の動きに必要な補助を与えること等ができるようになる。更に、ロボット手術においては、極薄の歪センサーをロボットツールに装着することによって、例えば開腹手術なしで経口からガン組織の硬さ等を検知することができるようになると期待している。

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Ultra-thin and highly sensitive strain sensors

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