- 2021-2-15
- 制御・IT系, 製品ニュース
- スマートファクトリー, 協働ロボット, 矢野経済研究所
矢野経済研究所は2021年2月12日、2020年の協働ロボット世界市場を調査し、主要国の関連政策や支援制度、参入企業動向、将来展望を発表した。
協働ロボットは、既存の産業用ロボットに比べて設置や運転が簡単で、レイアウトの再配置や工程変更が容易であるため、産業用ロボットの導入が難しい生産工程などにおいて導入が進んでいる。
2020年の協働ロボット世界市場規模は、米中貿易摩擦の長期化による製造業の生産低迷や、COVID-19拡大の影響による生産稼働率の低下などを背景とし、メーカー出荷台数ベースで前年比87.9%の2万5474台、同出荷金額ベースで同89.7%の898億1300万円に減少する見込みだ。
2019年の協働ロボット世界市場規模については、メーカー出荷台数ベースで2万8969台、同出荷金額ベースで1000億7800万円と推計した。
多品種少量生産や変種変量生産が求められる第4次産業革命の時代には、ユーザ企業のニーズに柔軟に対応できる生産システムが必要となる。協働ロボットは、スクリュードライビングと力制御による曲面アイロンなどにより精密な作業を、囲い無しで人と同じ空間内で行える。そのため、産業用ロボットとスマートファクトリーの構築において相互補完的な役割を果たし、生産自動化には欠かせない領域を占める。
協働ロボット世界出荷台数を導入業界別にみると、サービス業界やその他業界における構成比は、2020年23.2%から2030年には38.1%まで拡大すると予測される。世界でも導入が進んでいる中国では、マッサージ物理療法や電力グリッドでの高電圧ケーブルの保守作業など、新規応用分野での需要が増加している。日本においても、三品(食品・化粧品・医薬品)産業やサービス産業におけるロボット活用を目標とするロボット導入実証調査事業が進められている。
2021年下半期以降、新型コロナウイルス感染拡大が収束し、景気や製造業における設備投資が回復していくことで、2030年の協働ロボット世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで10万2378台、同出荷金額ベースで2230億8200万円まで成長することが期待される。
今後、協働ロボットにおいてもIoTやAI、5Gなどの新技術がさらに導入され、導入分野が大きく広がっていく見込みだ。また、協働ロボットの生産プレイヤーが増加していることから関連部品のコストが削減ができ、2030年頃には協働ロボット本体の価格が2020年に比べて30%前後まで下がる見通しだ。