ヤマハは2021年3月4日、自動車排ガスの熱エネルギーを利用する熱電発電モジュールの新製品「YGPX024」を開発したと発表した。同社によると、本製品は世界最大サイズでありながら、世界最大の出力を得られるという。サンプル販売を3月5日から開始する。
YGPX024は、モジュールの上下面を貫通する熱流により生じる温度差から電力を供給する発電モジュールだ。設置面積を143mm×103mmまで大型化したにもかかわらず、出力密度が従来品と比べて高く最大で1.5W／cm2となる。これにより、1モジュールで最大143Wの大電力を供給できる。
同製品は、光通信用ペルチェモジュールで培った高性能熱電材料技術と高精度実装技術を応用することで、動作温度を最大400℃、常用300℃と高温化している。1モジュール当たり143Wの電力が取り出せるのは、高温側400℃、低温側15℃でモジュール上下面の温度差が385℃の場合となる。高温側285℃、低温側100℃と自動車搭載を想定した温度条件でも、40Wと高い出力が得られる。
大型化については、独自の応力緩和構造とステンレスパッケージ封止構造を採用。これにより、自動車用途で15万km走行相当の負荷に耐える高い信頼性を維持した。
また、適度な柔軟性も持ち、搭載時に良好な熱接触を得られるため、搭載時に熱伝導性グリースを塗布する必要がない。独自のパッケージ封止構造により、酸化防止と結露の対策も必要ないことから、熱源と冷却面に挟んで押圧するだけで発電できる。
自動車の排気管に設置すれば、排気ガスの熱エネルギーから発電できるため、オルタネーターの負荷を低減させ、自動車のCO2排出量を削減できる。工場排熱などの有効活用やコジェネレーションのほか、地熱や太陽熱を用いた発電などにも活用できるという。
