シロアリはどうやって複雑な塚を作るのか――構築方法を説明する数学モデルを開発

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National Geographic/YouTube

シロアリ塚は動物によって作られた構造物の中でも、地球上で最大級の規模を誇る。いったい、シロアリはどうやって複雑な構造の塚を形成するのだろうか。米ハーバード大学と仏トゥールーズ第3大学ポール・サバティエの研究チームは、シロアリが複雑な塚を構築する方法を説明するのに役立つ数学モデルを開発した。研究成果は、2021年2月2日付で『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載されている。

研究チームはこれまでの研究で、昼から夜の気温変化が塚の中の風の流れを促進し、コロニーを換気するだけでなく、シロアリの建設行動を促すフェロモンも動かすことを示した。

そこで研究チームは今回、シロアリが設計図や指示なしで、塚に入り組んで接続されたフロアを建設する方法について研究した。まず、CTスキャンを用いて2つの巣の内部構造をマッピングし、フロアと通路の間隔と配置を定量化した。巣が複雑なことに加えて、シロアリはフロアをつなぐ単純な通路を作るだけでなく、複数のフロアを接続するらせん状の通路も作っていたことが分かった。

また、CTスキャンを用いた視覚化と、以前の研究成果(日々の気温変化やフェロモンの流れが建設行動に与える影響など)を取り入れ、塚の構造を説明する数学的フレームワークを構築した。構築した数学的フレームワークは、塚の構造についての明確な予測を示したという。

数学的フレームワーク構築の際、空気、泥、シロアリといった塚の構成要素を、空間と時間で変化する混合流体と考えた。数十万匹のシロアリは環境を感知して行動を起こし、本当の流体である空気がフェロモンを運ぶことでシロアリを新たな行動へと駆り立てる。そして、シロアリによって運搬された泥がフェロモンの流れを変える。フェロモン濃度に応じてシロアリは局所環境、ニッチをつくり出す。物理的な環境変化はフェロモンの流れを変え、シロアリの行動を変化させる。これは無生物と生物の研究の区分が崩壊する例ともいえる。

研究成果は、シロアリ塚がどのように機能/構築されるかという謎を部分的に明らかにするだけでなく、他のさまざまなシステムの群知能や、組織形態形成の側面の理解にさえ影響を与える可能性があるとしている。

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