- 2021-4-12
- 機械系, 製品ニュース
- ADAS(先進運転支援システム), JVCケンウッド, フロントガラス, ヘッドアップディスプレイ(HUD), 二重像軽減
JVCケンウッドは2021年4月9日、先進運転支援システム(ADAS)とともに導入され始めたヘッドアップディスプレイ(HUD)に関して、フロントガラスの表裏で生じる二重像を軽減する設計技術を開発したと発表した。従来は高価なくさび型特殊ガラスを使って対応していたが、フロントガラス表面と裏面にて反射する光路が最適になる設計を編み出した。コストダウンにつながり、普及価格帯の車両においてもHUDを導入する一助になるのではないかと期待している。
HUDは、走行速度やナビゲーションなど、さまざまな情報をフロントガラスに映し出す表示装置。ドライバーは計器類に視線を移動せずに情報を確認できるようになる。ただし、フロントガラスの構造上生じる低視認性が課題となっている。
HUDは現在、ダッシュボードから画像を投射し、フロントガラスの反射を用いて画像を映し出す方式が主流となっている。前方視界を妨げないようガラス面に反射膜などを追加することができず、ガラス自身の表面反射を利用するため、その裏面の反射が二重像の原因となってる。これを防ぐため、わずかな角度をつけたくさび型特殊ガラスを表裏面に設置しているが、車両の組み立てラインで実装する必要があり、フロントガラスのコストアップの要因となっている。
JVCケンウッドは、ガラス表面反射と裏面反射の光路を最適にする設計を見つけ出し、フロントガラスに使われる平行ガラスの表裏反射光の光軸を一致させる条件と、HUDとして必要な表示画像の位置・距離・画角等の条件をほぼ両立させて二重像を軽減。人間の視覚特性上も違和感の少ないHUD表示を達成した。光学部品の構成は現在のHUDと同等で、従来のように新たな光学部品を追加する必要がない。
本技術が採用されて高価なくさび型特殊ガラスが不要になれば、HUDのコストダウンにつながり、普及価格帯の車両にもHUDを導入できるようになる可能性がある。さらに、従来のフロントガラスが使用できるため、車両組み立てライン以外での装着も可能になると見込んでいる。