5G通信網を使ってスマホをワイヤレス充電――新しいミリ波ワイヤレス給電システムを開発

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Georgia Tech/YouTube

ジョージア工科大学の研究チームは、5Gネットワークを「ワイヤレスパワーグリッド」として活用できる革新的な方法を発表した。ロットマンレンズとレクテナ回路を組み合わせることで、従来よりも高い効率で28GHz帯におけるミリ波の無線給電に成功した。スマートフォンをはじめ、様々なIoTデバイスからバッテリーがなくなる日が来るかもしれない。研究結果は、2021年1月12日付けの『Scientific Reports』に掲載されている。

ロットマンレンズとは、光学レンズのように作用するデバイスで、クモのような形状のパターンを使って同時に複数の視野を得られる。アンテナシステムを物理的に動かすことなく多方向を観測できることから、レーダー監視システムにもよく利用されている。レクテナは、整流器とアンテナで構成した回路で、電波から直流電流を作ることができる。

アメリカでは、連邦通信委員会(FCC)が5G通信におけるミリ波帯の使用を認め、かつてないほどに高い放射電力密度が割り当てられるようになった。その結果、使われないまま無駄となる電力を「収集」する機会に恵まれることへの期待が高まった。

低消費電力のデバイスを遠距離から無線給電するのに十分な電力を得るには、大口径のアンテナが必要となる。しかし、大型アンテナは視野が狭いという問題を抱えている。24GHzや35GHzといった高周波から電力を得るという試みは以前にもあったが、それらのアンテナは5G基地局への見通し線がある場合にのみ機能し、角度範囲を上げることができていなかった。

研究チームは、アンテナと整流器の間にロットマンレンズを組み込むことで、レクテナの角度範囲と感度の両立に成功した。「このイノベーションを利用すると、より高い周波数で動作し、どの方向からでも電力を受け取れる大型アンテナが可能になる。方向に依存しないので、非常に実用的だ」と、共同研究者のJimmy Hester氏は語る。

ロットマンレンズはフレキシブル基板に3Dプリントで作製。次にアンテナアレイ、整流器、直流結合器を追加することで、平らな状態はもちろん、曲げた状態でも広い角度特性と感度を示した。実験では、2.83m離れた所からの給電に成功した。最先端の整流器を使用すれば、180m以上の距離から数マイクロワットの給電が可能になるとしている。

今後、5Gが都市を中心に拡大するのは確実で、スマートシティやスマート農業で使用する莫大な数のワイヤレスセンサーのバッテリーが不要になるかもしれない。研究チームは、通信業界においてデータ通信が音声サービスを上回ったように、電力サービスが次の主要分野になると予測している。

関連リンク

Leveraging the 5G Network to Wirelessly Power IoT Devices

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る