大日本印刷は2021年5月28日、顕微鏡画像を元に微粒子製品の粒子径や形状、表面の状態などを解析する「DNP粒子画像解析ソフト」を開発したと発表した。人工知能(AI)を利用したディープラーニング(深層学習)技術を適用しており、画像処理の専門知識がない担当者でも必要なデータを取得できる。
この解析ソフトは、電子顕微鏡で撮影した金属やセラミックスなどの微粒子の画像を元にAIが粒子の検出と分類を行い、結果を画像や表、グラフで表示する。分類は、担当者が微粒子の一部をクラス分けするが、そのデータを基にAIが全体の分類をする。解析対象の画像の一部を用いてAIに学習させることもできる。
DNP粒子画像解析ソフトは、グラフィックボード(GPU)を搭載した一般的なパソコンで動作が可能で、特別な機器は必要ない。
金属やセラミックスなどの微粒子を工業製品に使用する際は、求められる機能に合わせて粒子の比率や材料の混合度などを最適化するため、微粒子の大きさや形状、表面特性などを正確に解析する必要がある。従来、電子顕微鏡画像による測定は目視で解析しており、熟練した技術を持つ作業者が欠かせなかった。しかし、今回開発されたソフトウェアを使えば、熟練技術がなくても正確な解析ができ、作業時間の短縮など効率化を図れる。
同社は、微粒子製品を扱う素材や製品のメーカーだけでなく、多様な業種の企業、大学などの研究機関にこのソフトウェアを販売し、2025年度の年間売り上げ5億円の達成を目指すとしている。