「中国の人工太陽」がプラズマ温度と持続時間で世界新記録――核融合発電の重要なマイルストーン

中国科学院は2021年5月28日、「中国の人工太陽」とも呼ばれる全超伝導トカマク型核融合エネルギー実験装置(EAST)で、1億2000万℃のプラズマ温度を101秒間持続し、世界新記録を樹立したと発表した。さらには、1億6000万℃のプラズマ温度を20秒間持続するとの偉業も成し遂げている。同実験は、中国東部に位置する安徽省の首都、合肥で行われた。

中国科学院プラズマ物理研究所の研究者、Gong Xianzu氏が率いるEASTチームは、世界で最も野心的なエネルギープロジェクトの1つ「ITER」とも深くかかわっており、同核融合実験炉向けに下部補正コイルといったコンポーネントも提供している。

ITERの公式サイトによると、核融合は太陽や星のエネルギー源で、恒星の中心では水素原子核がぶつかり合い、より重いヘリウム原子に融合する過程で途方もない量のエネルギーを放出しているのだという。実験室で最も効率的な核融合反応は、2つの水素同位体、重水素 (D) とトリチウム (T) を用いたDT反応とされている。

実験室で核融合反応を起こすには、1億5000万℃という非常に高い温度、十分なプラズマ粒子密度、十分な閉じ込め時間の3条件を達成する必要がある。今回の実験では、1億6000万℃との高温を達成し、核融合炉の試験運転に向けた重要なステップを踏んだことになる。

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