超音波で水出しコーヒーの抽出時間を24時間から3分に短縮

UNSW/Francisco Trujillo

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学は2024年5月7日、超音波を使って、味を損なうことなくコールドブリュー(低温抽出)コーヒーを3分以内で作る方法を開発したと発表した。この研究についての論文は『Ultrasonics Sonochemistry』に掲載されている。

ホットコーヒーと比べて、滑らかで酸味や苦みが少ないコールドブリューコーヒーを好む人は少なくない。しかし、冷水でゆっくりと風味を抽出するのには12時間から24時間かかるため、飲みたい時に手軽に用意できないのが難点だった。

研究チームは、コールドブリューの抽出プロセスをスピードアップすることを目指し、挽いたコーヒー豆の抽出を早めるために超音波リアクターを使用する手法を開発した。具体的には、既存のBrevilleのエスプレッソマシンに、研究チームが特許を持つ独自の音波伝達システムを搭載。ボルトで固定された変換器を、金属のホーンを介して抽出バスケットに接続し、標準的なフィルターバスケットを強力な超音波リアクターに変えるというものだ。

このリアクターは、38.8kHzの音波を、リアクター壁面を通して複数箇所に入射させ、リアクター内に複数の超音波キャビテーション領域を作り出すことで機能する。そこでは小さな気泡がたくさんでき、挽いたコーヒーの近くでこの気泡が崩壊すると、マイクロジェットが発生する。コーヒーの粉に穴をあけて砕くのに十分な力を発生させることで、抽出プロセスを加速し、より強く香りと風味を抽出できるのだ。

このシステムを用いることで、抽出時間が1~3分に短縮できた上に、味のテストでも、従来の長時間かかる方法で抽出したコーヒーとほぼ同等の評価を得た。また、超音波処理されていないサンプルと比較して、抽出収率とカフェイン濃度を2倍にできることもわかった。

今後、コーヒーショップやレストランなどでの商業的な利用や、食品産業のさまざまな分野への応用が期待できるという。

関連情報

Hear that? That’s the sound of an ultrasonic cold brew coffee ready in under three minutes
Coffee brewing sonoreactor for reducing the time of cold brew from several hours to minutes while maintaining sensory attributes – ScienceDirect

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