- 2018-6-4
- 化学・素材系, 技術ニュース
- NIMS, ビスジイミノニッケルナノシート, 京都工芸繊維大学, 東京大学, 物質・材料研究機構, 理化学研究所, 蓄電池, 電子伝導性配位構造体, 電極材料
物質・材料研究機構(NIMS)は2018年5月31日、東京大学、理化学研究所、京都工芸繊維大学と共同で、結晶構造を自在に制御できる電子伝導性配位構造体が、有望な蓄電池の電極材料となり得ることを発見したと発表した。
配位構造体と呼ばれる材料群では、結晶構造を自在に制御でき、さまざまな物性の制御や機能の付加ができる。そのため、エネルギー貯蔵に関わる物性を調節することで、次世代蓄電池の電極材料とする応用研究が盛んになってきている。しかし、配位構造体の電子伝導性が低いことが、電極材料としての応用の障壁となっていた。
そこで研究チームは、配位構造体でありながら金属的な電子伝導性を示す電子伝導性配位構造体が、エネルギー貯蔵反応に対して高い特性を示すと予想。その一種であるビスジイミノニッケルナノシート(NiDI)の電気化学特性や結晶構造の詳細な調査を実施した。結果、エネルギー貯蔵機構を示すこと、また、リチウムイオン電池の代表的な正極材料と比肩する特性容量を持つことを発見。さらには、充放電を300サイクル繰り返した後も容量は約80%を維持し、高寿命なエネルギー貯蔵材料であることも明らかにした。
今後は、さまざまな電子伝導性配位構造体を調査し、そのエネルギー貯蔵機構の原理を解明するとしており、それにより、材料探索の加速が期待できるとしている。