- 2021-8-11
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- ハイブリッド材料, ポリスルフィド, リチウム硫黄電池, 二次電池, 二酸化チタン, 次世代電池, 沖縄科学技術大学院大学(OIST), 研究, 窒化チタン
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2021年8月10日、製造過程を加速させて溶解が生じる可能性を低減するとともに、不要な生成物を吸収するリチウム硫黄電池用のハイブリッド材料を開発したと発表した。この結果、長寿命で充電時間が短く、再充電を要するまでの時間が長いリチウム硫黄電池の開発に成功している。
持続可能な方法を用いて増大するエネルギー需要に応えるためには、高品質な二次電池が必要となる。リチウム硫黄電池は、他の二次電池よりも多くのエネルギーを貯蔵できるため、次世代電池として期待されている一方で、製造過程で中間生成物に溶解が生じる点が課題となっている。
具体的には、硫黄がリチウムと反応する際に生成される多硫化リチウムがポリスルフィドに溶解しやすく、ポリスルフィドが電池の性能を低下させる原因となる。
同大学の研究チームは今回、窒化チタン(TiN)と二酸化チタン(TiO2)という2種類の材料を用いたハイブリッド材料を開発した。カーボンナノチューブ(CNT)のフレームワークを採用し、上から窒化チタンと二酸化チタンの層でコーティングしている。
二酸化チタンは、製造過程で生じたポリスルフィドを吸収し、窒化チタンは、多硫化リチウムから最終生成物である硫化リチウム(Li2S2またはLi2S)への変化を加速させる効果を有する。これにより、電池の性能低下を抑制することが可能となった。
また、電池の効果を最大限に高めるべく、nm単位での調整を加えたところ、10nmの窒化チタンおよび5nmの二酸化チタンを用いた構造が最も効率的であることが判明した。
以上により、長寿命で充電時間が短く、再充電を要するまでの時間が長い電池の開発に成功した。充放電を200サイクル繰り返し、効率がほぼ変化しないことを確認している。
同研究チームは、電池の性能のさらなる向上を目指して今後も材料の最適化を進める。