液体アンモニアを水素へと効率的に変換する技術

韓国の蔚山科学技術研究所(UNIST)の研究チームは、液体アンモニアを効率的に水素に変換する画期的な技術を開発した。液体アンモニアを電気分解することで、ほぼ純度100%のグリーン水素の大量生産に成功したという。電気分解によりアンモニアから水素を変換するための最適な手法を探索できる新しい解析プロトコルとして注目されている。研究成果は『Journal of Materials Chemistry A』誌に2021年5月21日付で公開されている。

アンモニアはエネルギー密度が非常に高く、貯蔵や取り扱いが容易なことから、水素キャリアとして期待されている。また、電気分解によりアンモニアから窒素と水素を製造する理論上の分解電圧は0.06Vであり、水の電気分解に必要な1.23Vと比べて非常に低いことも知られている。

今回研究チームは、新しいアンモニア酸化触媒を確実に比較、評価するために、触媒作用中に実際に何が起こっているかを知ることができるオペランド・ガスクロマトグラフィー法のプロトコルを提案した。この方法により、アンモニア酸化反応と、競合する酸化反応を詳細にリアルタイムで識別できるようになった。

その結果、花のような形をした電着白金触媒を用いることで、効率的な水素の製造に成功した。その際に必要な消費電力は、水分解法に比べて約3分の1だった。

研究チームは、「今回提案した厳密なプロトコルを使用することで、アンモニア酸化の実用性能を評価できる。これにより、アンモニアを電気化学的に酸化して水素を製造する手法の実用化に向けた道筋に焦点を当てることができるだろう」と、研究の成果を説明している。

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