ニッケル/モリブデンフリー高強度肌焼鋼の新製品を開発――部品製造工程の省略や簡略化が可能 山陽特殊製鋼

ECOMAX5の適用が想定されるギヤ/シャフト

山陽特殊製鋼は2021年10月25日、ニッケル/モリブデンフリー高強度肌焼鋼の新製品「ECOMAX5」を開発した。部品製造工程の省略や簡略化が可能となっており、ギヤやシャフトなどの高強度部品製造時のコスト低減、CO2排出量削減に寄与する。

ECOMAX5では、比較的低温での短時間の保持で軟化する「短縮焼なまし法」を適用できるため、処理時間を6〜8時間と従来の半分以下に短縮できる。

一般的な肌焼鋼を用いた焼なましでは、鋼の組織変化を適切に制御する必要があるため、厳密な温度管理のもとに半日から丸一日程の長時間処理が必要となっていた。

ギヤ/シャフト部品の製造工程の省略/簡略化(一例)

また、ECOMAX5では、焼なましによって炭化物を均一に分散した組織を形成できるため、変形時の割れが生じにくくなっている。ギヤの歯出し成型などのニヤネット化に適する。

焼なまし材の組織(光学顕微鏡写真)

さらに、ECOMAX5は、結晶粒粗大化を抑える微細ピンニング粒子であるニオブ(Nb)炭窒化物を鋼中に適切に析出させ、合金設計によって浸炭前の組織の均質性を高めた。

冷間鍛造後に浸炭焼入れした部品の結晶粒(光学顕微鏡写真)

浸炭焼入れ時でも結晶粒が微細な状態で安定するため、焼ならし工程の省略化が期待できる。浸炭温度を高めて全体の処理時間を短縮する、高温/短時間浸炭にも適用できる。

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